テンプレート

お勧め記事セレクション

スロット小話#1「つられた男」

f:id:hosino1977:20170313213647j:plain

皆さんはパチンコ、スロットに「オカルト攻略法」と言う遊び方があるのはご存知でしょうか?

パチンコ、スロットにおけるオカルト攻略法とは、自分なりのやり方でこうすれば当たりやすいんじゃ無いかと言う、全く科学的根拠が無いオリジナルの攻略法の事で、有名なところでは台を休めると当たり安いなどあります。これは一旦打つのを止めてしばらくおいてから打つと当たり安いと思われてるオカルト攻略法の事で、パチンコのST中などでよく使っている人は多い事かと思います。

かく言う僕も、スロットで小役は取るより外した方が台が甘くなると言ったオリジナルのオカルト攻略法をやっており、先日、推定最低設定1のまどか2で約8000G回し、見事差枚96枚プラスにする事が出来たのですが…。

このように自分のやったオカルト攻略法で効果が実感出来ると、この攻略法は本当に効果があるように感じてしまい、普通に打つより強い満足感を感じる事できます。

これがオカルト攻略法をやる楽しみであり醍醐味かと思います。

しかしそれが自分だけの楽しみの範囲で終われば良いのですが、パチンコ、スロットをやっている人はみんな出したくて、そして勝ちたくてやっています。

変な事をして出してる人がいたら…そりゃ真似したくなりますよね?

今回のお話はそんなオカルト攻略法につられてしまった男の話です。

その話は遡る事西暦は2000年に入る前の話で、爆裂AT機が出る前の4号機時代、僕はその頃パチンコ屋に勤めており、仕事終わりにはその時にあった大好きな機種である「アステカ」を狂ったように打つ毎日を送っていました。

そしてその日もいつもの通り仕事帰りにアステカを打っていた時の事、その時は調子よく出てくれて、やっぱりアステカは面白いな〜とアステカの楽しさ再確認しながら楽しく消化していた時の事です。

僕はふと思ったのです。

もっとCTに入ってくれればもっと楽しいのに、と…。

CTとは、まあ説明は省略しますが当たりの1/2で突入し出玉の増加に繫がるチャンスタイム(CT)の事です。

そして僕はその時何を思ってそんな事をしたのか今となってはよく分かりませんが、とにかくその時、CT抽選中の演出でストップボタンの中ボタンを、高橋名人のごとく1秒間で16連射出来ればCTに入るのでは無いか?

その時は、本当に、そうなると、僕は思い込んでしまったのです。

とにかくそう思った僕はアステカの中リールストップボタンを、CT抽選中、8個のランプが赤から緑と目まぐるしく駆け抜けてる中、僕はファミコンのゼビウスのバキュラを倒そうとしたごとく、一心不乱で中ストップボタンを連打しました。

するとランプ演出が赤は駆け抜け、当たりゾーンの緑はスローになる信頼度の高い演出が来ます、そしてランプが流れる音と共に顛末を見守ると…ダラララ、ダッダッダッダッ、ダラララ、ダッダッダッダッ、ダラララ、ダッダッダッダ……、と見事緑ランプの所で光は止まりCT当選に…!

僕はこの光景を見てこう思いました、バキュラを初めて倒せた…! 、違う、中ボタン連打でCT当選率アップ、あるじゃないの?w と…。

まあオカルト攻略法と言うのは、だいたいこんな感じに生まれて、で、そのうち効かなくなってきて、やっぱりそんな物はなかったとなるのが、オカルト攻略の人生もといオカ生であり一生なのですが。

しかし生まれたばかりのオカルト攻略法と言うのは、生み出した本人の思い込みパワーもあるのか、生み出したその日は思い描いた通り出る事はよくあり、実際その日は中ストップボタン連打でほぼ100%の確率でCTに当選することが出来、2000枚、3000枚と出玉を増やして、とてもウハウハしてたのですが、しかしふと僕が打っていたアステカの島を見渡すと一つの違和感を感じました。

その違和感とは、僕のアステカの数台先で打っていた、ちょっとチャラそうな男、所謂チャラ男がいたのですが、彼の方をちょっと注視して見てみると、何と彼も僕と同じように中ストップボタンを連打していたのです。

僕は彼を見た時素直にこう思いました。

何やってんだこいつ。

何と言う棚上げ野郎でしょうか、しかし別にこの中押し連打CT当選打法は僕も自身さしたる確証も無しにやってたので、僕がそう思うのも仕方無い事だったと思います。

しかし不思議な事に僕が中押し連打CT当選打法をやると面白いようにCTが入るのに対し、チャラ男はいくら必死に連打をしてもCTに当選する事はありませんでした。

僕はその状況に心の中で草の大草原を生やしていたのは言うまでもありません。

そしてさらにはそのチャラ男に対し、連打が足りねえんだ連打が、シューティングウォッチで練習してこいっ! 定規を使うのは駄目だからなっ! 草草草と、彼を盛大に見下しまくったのです。

勿論怖いので心の中で。

そしてその後も続く、アステカコーナーでの連打バトル、奇しくもその時アステカコーナーには丁度僕と彼しかいなかった事から完全に二人だけの世界になっていました。

連打してCTに入る僕。

連打してもCT入らない彼。

その状態に僕の承認欲求は滅びのバーストストリームくらいストリームしており、もはや顔のニヤケが顔面から溢れ出るくらい僕はとてつもない高揚感に包まれていたと思います。

とても心地良い瞬間、この瞬間が永遠に続けばいいのに、とちょっと乙女チックな妄想に浸るくらい、僕の精神状況はヤバイ事になっていました。

しかしそれは突然終わりを告げる事になりました。

ダダダ…! と小気味の良い連打音が鳴り響いていたアステカコーナーでしたが、突然その音が、ガンッ! と何か物を殴った音が鳴り響きます。

僕は何事…! と今まで連打バトルを繰り広げていた彼の方を向くと、彼はまるで僕を親の仇のような目で見て、そして今まで連打していた手を、ぎゅっ、と、いやそんな生優しい物では無く、まるで少年漫画で仲間が死んだ時のように、素っ気の無いふりをしてるのに拳は血が滲むほど握りしめているみたいな、そんなクールなフリして胸のうちにほ熱い闘志がある漫画のキャラみたいに、彼の拳は固く固くぎゅうううと握りしめられ、その拳は顔の位置まであげられ、まるでアル中かのようにプルプルしており、そして僕をを見つめている顔は、前歯が見えるほど下唇を噛み、そして拳動揺顔もプルプル震えて眉間には3本の縦筋が刻まれていました。

彼はそんな様子でこちらを見ていたのです。

察するに、いや察しなくて彼は自分だけCTに入らない事に腹が立ち台パンをしたのです。そして明らかにこちらに敵意を向けていました。

ヤバイ思考を読まれたか…!?

僕は無残様にパワハラ殺害された下弦の鬼のように、今まで頭の中で勝手に勝ち誇って承認欲求を満たしていた僕の愚かな心を読まれた、僕はそう思いました。

まあ、嘘ですけど。

それはさておき、実はこの時代のスロットで、何か攻略っぽい事をするのは大変危険な行為でした。

と言うのも、この時代の専業は半グレが多く、その攻略法を聞き出すために人気の無いところへ連れ出しリンチする事もあったからでした。

実際、初代鉄拳が新台で出た時、たまたま出た人が駐車場に呼ばれ、何かやっただろ言えと、コンクリのブロックで頭をどつかれ流血したとかなんとか噂があったほどです。

もしも今僕を睨んでいる兄ちゃんが、今話した半グレ専業だったら僕は間違いなくボコボコにされるでしょう。

そしてその後僕の運命はどうなったかと言うと……。

まあ、特に何もありませんでした。

彼は舌打ちなような物を僕に向けてすると、睨んだ視線と恨みがましい表情を向けたままアステカコーナーから去っていきました。

その後僕は、とりあえずの身の安全を確認すると、ほっとため息を漏らし、そして丁度CT抜けたので、今日ケチついたと思い、そのまますぐに流して帰る事にしました。

そしてその後、そのキレキレ兄ちゃんの姿は見る事はなくなり、僕は中押し連打CT当選打法みたいな変な事をするのを控えるようになりました。

大したオチじゃなくてすみません。

まあ、昔のパチンコ屋って本当にこれぐらい怖い人がいたんてすよね。

今軍団の高設定を打ってる客を止めさせる、剥がし子って言うのがいるみたいですが、彼らは打ってる客にタバコの煙を吹きかけたりと、そんな地味な嫌がらせで台を止めさせようとするみたいですが、裏に連れ出してコンクリブロックで頭を殴る半グレ専業に比べたら可愛いものですよね。

と言うところで今回のお話はおわり。

また4号機時代にあった印象深い出来事などあったら書きますので、良かったら見てみてください。

それでは。