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【DBZxとあるクロスオーバーSS】悟飯「学園都市かぁ…」一話M

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インデックス「繰返し確認します」
インデックス「妨害者及び侵入者【孫悟飯】を押さえながら首輪の修復は不可能と判断…」
インデックス「それにより魔導書の機密漏洩を防ぐをことを最優先とし」
インデックス「魔導書の情報を完全に抹消及び魔導書の存在を目撃者と共に自滅することが最良の選択と判断」
悟飯「自滅するって…や、やめるんだ!」
ピッコロ「存在を知った目撃者と共に自滅するだと…!」
ピッコロ「あ、赤髪! やつは何をする気なんだ!」
ステイル「僕が知るかよ宇宙人!」
ピッコロ「なんだと…!」
ステイル「ただ僕が言える事は一つだ」
神裂「ソドムとゴモラ…」
ピッコロ「ソドムとゴモラ…?」
ステイル「旧約聖書悪徳の街ソドムとゴモラを一瞬で焼き尽くした神の光」
ピッコロ「…!」
ステイル「魔導書を守るためとは言え、ここまで騒ぎ大きくなったんだ」
ステイル「魔導書の秘密を守るためにその目撃者もろとも自滅するならば」
ステイル「ソドムとゴモラに落ちた、その神の光に似た魔法で、街を一瞬で破壊するかも知れないって事だよ!」
ステイル「今この周辺にいるやつらを消し去るためにな!」
ピッコロ「な、何…魔法にはそこまで威力がある物まであるのか…」
ステイル「ああ…たぶんな…」
ステイル「それでなくても…何か、強大な範囲を有する魔法を使うのは間違いない!」
ピッコロ「くそったれ…!」
ピッコロ「悟飯ーーー!」
悟飯「…! ピッコロさん?」
ピッコロ「そいつは街を巻き込んで自滅する気だ!」
ピッコロ「やらせる前に何としても止めるんだ!」
悟飯「な、何だって…! く!」
インデックスに向き直る悟飯。
しかし───。
インデックス「逆徒の処断を再展開」
ヴン、と言う音ともにまたインデックスの回りに結界が張られる。
悟飯「ま、また…!」
悟飯(で、でもさっきもカメハメ波で壊せたんだ…!)
悟飯(また同じ威力で撃てば…インデックスを傷つけずに壊せるかも知れない!)
そう思った悟飯はカメハメの構えを取る。
インデックス「…」
悟飯「な、何…!」
また同じ技が来ることを感じ取ったインデックスは、カメハメ波の射線上に街が入るように悟飯の下側に回る。
悟飯「く…! 街を盾に…しているのか…?」
インデックス「…もしも街にあの光の魔法が着弾すれば、恐らくは街…都市の消滅は必至」

インデックス「もしかしたら世界自体も消滅するかも知れません」

インデックス「ですが全ての消滅は私の目的の完遂を意味します」

インデックス「邪魔されても目的を完遂出来るこの位置は最良と認識します」

悟飯「く…! やっぱり街を盾にするためにわざと…!」
悟飯(で、でも状況はさっき結界を壊した時と同じなんだ…)
悟飯(僕はてっきり、反射される物だと思って撃ったんだけど、結界の方が壊れた)
悟飯(それはある程度のパワーがあれば、結界のカウンターをねじ伏せて壊す事が出来るって証拠だ…!)
悟飯(だからさっきと同じ威力でカメハメ波を撃ち込めば、今度も結界だけを壊す事が出来るはず…!)
悟飯(…)
悟飯(…で、でもさっきと同じくらいの威力ってどのくらいだろう…)
悟飯(もしも威力を少しでも見誤ればインデックスは…)
悟飯(それに街も吹き飛ばしてしまうかも知れない…)
悟飯(で、出来るのか? そんな微妙な調整をしてカメハメ波を撃つことなんて…)
悟飯(ピッコロさんに修行つけてもらったとは言え)
悟飯(戦いを離れていた僕の今の感覚でそんな事が出来るのだろうか…?)
ピッコロ「悟飯何をやっている!」
ピッコロ「とりあえず今は何としても止めないと街に被害が出るぞ!」
悟飯「そ、そんなことを言われても…」
インデックス「終焉の忘却光…」
インデックス「刻む牢獄に囚われし神の子羊たちよ…」
ピッコロ「…!」
ステイル「駄目だ…! 詠唱が始まった…!」
神裂「…! 少年! もう一度さっきの光の砲撃を…!」
悟飯「で、でも…」
神裂「く…!」
インデックス「…その終わることのない足跡を記す日々に」
インデックス「全てを忘すする忘却宮オブヴィリオンの果ての光が安息と言う解放を与えましょう」
インデックス「オブリン・ハティートゥ・フォルサ…」
インデックス「白く白く無垢な安息を…」
インデックス「ロスィト・エラ・オブヴィリオン」
そこまで唱え終えると、突如インデックスの体発光し始める。
その光はとてつもない光量だったが、不思議とその眩しさは感じず、どこか懐かしく感じる光だった。
それはまるで夢の中で、ぼんやりとした感覚の中で、過去の夢を、子供の頃の夢を見ている時に感じるような。
そんな何処か暖かい光。
悟飯「この光は…う」
御坂「な…何…こ…れ…」
訥々にうめいた後ドサリと地面に倒れる御坂。
黒子「御姉様! …あ、あら何だか私も」
黒子「…私…何でこんなところに…」
黒子も御坂に続けて地面に倒れる。
ピッコロ「…! いかんこの光は…!」
ピッコロ「悟飯! 気を高めて防ぐんだ!」
悟飯「は、はい!」
悟飯「ハア!」
バシューン! と言う音と共に気を高める二人。
悟飯「ピッコロさん…この光は一体…?」
ピッコロ「俺にもよくは分からん! …ただ」
悟飯「ただ?」
ピッコロ「全てを巻き込んで消滅する気であの魔法とやらを使ったのに」
ピッコロ「この光には破壊的な力はない」
ピッコロ「しかし、光をマトモに受けた奴等は次々に気を失っている」
ピッコロ「つまりこれは精神に何らかの攻撃する魔法だ」
悟飯「何らかって…何でしょうか?」
ピッコロ「詳しくは分からんが、恐らくは精神を破壊する系の…」
悟飯「精神を…!」
ピッコロ「ああ…何も全てを破壊しなくても、この周囲にいる人間を廃人にしても、証拠隠滅とやら出来そうだからな」
悟飯「そ、そんな…!」
ステイル「その見解は正解に近いが少し違うな」
神裂「…」
ピッコロ「お前らも無事だったか…」
ステイル「仮にもあれは魔法だからね。少しは防御出来る手段は知ってるさ」
ステイル「ただ、流石に魔神クラスの魔法じゃ、それも限界があるけどね」
ステイル「君たちも何とかその不思議な力で守っているみたいだけど結構きついんじゃないかな?」
ピッコロ「ふん…確かにな、であの正解に近いと言うのはどう意味だ?」
ステイル「じわじわとその感覚をその身に感じているなら、分かるんじゃ無いかな?」
悟飯「その感覚…? そう言えば気で防御しても…何だか頭がぼーっと…」
悟飯「こんな時なのに…ここにいる意味がよく分からなく…」
ピッコロ「ふん…そう言う事か…」
ピッコロ「これは記憶を奪う魔法か」
悟飯「え…き、記憶を」
ステイル「ご名答…そうだこれは記憶を奪う術だ」
ステイル「僕があの子の記憶を奪う魔法の術式に波長が良く似てたから分かったよ」
ステイル「まあ言うまでもなく僕の魔法何か児戯にも等しくなる、遠い昔神話の時代に使われた強大な魔法さ」
ステイル「一つの国を簡単に滅ぼせるほどのね」
悟飯「国が滅ぶって…どう言う事ですか!?」
ステイル「あの魔法が使用された記録を読んだことがある」
悟飯「使用された…!」
ステイル「その記録書を書いた魔法使いは、薄れていく記憶の中で必死に書き留めた言葉にこうあった」
ステイル「まず術者の回りから光は広がり、光は広がるほどその中心部分は術の効果が増大していき、魔法の守りも及ばなくなっていく」
ステイル「そしてその光の広がりは一つの国を飲み込むまで消えなかったとされている」
悟飯「ひ、一つの国が…!」
ステイル「そうだ」
悟飯「そ、そんな一つの国が…」
悟飯「…ん?」
ステイル「何だ?」
悟飯「でもその記録を書き留めた魔法使いは、恐らくはその光の広がりをを見る前に記憶が無くなったと思うんですが」
悟飯「一体どうやって国一つ飲み込まれたのを確認したんですか?」
ステイル「…それを確認したのはその魔法使いじゃない」
悟飯「え?」
ステイル「後で考古学者が残された書物と照らし会わして導きだした結論だ」
悟飯「え? そんな曖昧な話で結論付けてるんですか?」
ステイル「お前と討論する気は無いが、何故考古学者がそう思ったのか教えてやる」
ステイル「記録書が残されていた恐らく使用されたその場所には、大きな国があったのだが」
ステイル「その国は突然消えてその周辺に空白の歴史と大量の死者の骨が出土している」
悟飯「…!」
ステイル「恐らくは廃人クラスまで記憶を奪われた犠牲者の骨だろう。全員が廃人になれば生きる術は無いからな」
悟飯「そんな事が…」
ステイル「ふん…まあ後ついでに言っておくが、その魔法が使われた範囲だが」
ステイル「ざっと50万K㎡…この日本が簡単に収まる範囲内だな」
悟飯「そ、そんな! それじゃ学園都市どころか日本も…!」
ステイル「そう言ってるだろ」
ステイルはそこまで言うと、懐からタバコを取りだし火をつける。
ステイル「ふーーー…」
ピッコロ「その割りには余裕だな」
ピッコロ「何か手はあるのか?」
ステイル「手? はは…その逆さ」
ピッコロ「何?」
ステイル「手が無いからこうしてるのさ…ま、諦めの境地って奴かな」
神裂「…」
自分を嘲笑するように言うステイルと片手で二の腕を掴みながら項垂れる神裂。
魔法に精通している、その二人の諦観の有り様に絶望感が漂う。
ピッコロ「…く」
悟飯「そ、そんな何か…! 何か手は無いんですか!?」
ステイル「何もない。 そもそも神話の時代に使われた神の魔法」
ステイル「術式形態も不明なロストマジックに、仮に少しでも対抗できる準備期間があったとしても、用意できる対抗策はたかが知れている!」
ステイル「…防げる訳がない」
悟飯「で、でも!」
神裂「少年。私たちは嘘をついている訳ではない」
神裂「本当に…何もない」
悟飯「…!」
ピッコロ「仕方がないな…こうなっては」
悟飯「ピッコロ…さん?」
ピッコロ「もうこうなったら一度退避して、ドラゴンボールが使用出来る一年後にシェンロンに元に戻してもらおう」
悟飯「そ、そんな! そしたらここに残された人たちは…」
悟飯「御坂ちゃんは、それにあの黒子って女の子も」
悟飯「それに青髪くんや土御門くん」
悟飯「小萌先生に、仲良くなったクラスのみんな」
悟飯「それをみんな見捨てろって言う事ですか!」
ピッコロ「見捨てるとは言っていない! 一年後にドラゴンボールで…」
悟飯「そ、それを見捨てるって言うんですよ!」
悟飯「思考を廃人レベルに落とされて一年も生きていられる訳が無いじゃ無いですか!」
悟飯「い、いや事態はそれだけじゃない」
悟飯「一年も国民全員が廃人になったら国自体無くなってもおかしくない」
悟飯「それじゃドラゴンボールで生き返らしても全てが元通りになる訳じゃ無いですか!」
ピッコロ「そ、それはそうだが…」
ピッコロ「だがこの事実を知る俺たちまで記憶を失う訳にはいかないんだぞ!」
ピッコロ「何も手だてがない今、ただ記憶を失う事になるのが、どんなに意味の無い事か」
ピッコロ「頭の良いお前が分からない訳でもあるまい!?」
悟飯「で、でもそれでも…!」
ステイル「おい金髪…その宇宙人の言う通りだ」
悟飯「え?」
ステイル「何も手が無ければ犬死だ」
ステイル「空を飛べるなら魔法の発動範囲からも逃げられるだろう」
ステイル「だから とっと行きな」
悟飯「だからそう言う訳にも…」
ステイル「バカだな君は!」
悟飯「!」
ステイル「無理なことに駄々をこねても無理な物は無理だ」
悟飯「く…」
ステイル「だから自分の出来る範囲で救うんだ」
悟飯「え?」
ステイル「今ならそこに転がっているお嬢ちゃんたちくらいなら助けられるだろう」
御坂「…」
黒子「…」
悟飯「あ…」
ステイル「分かったかい? 全てを救えなければ救うものは選定しなければ行けない」
ステイル「まあ医療現場とかでよく聞くトリアージってやつだな」
悟飯「で、でも選ぶなんて…」
ステイル「君は凄い力を持っているかも知れない」
ステイル「でも勘違いするなよ…君は人間だ」
ステイル「何でもかんでも思えば出来るなんて、神にでもなったつかもりかい?」
悟飯「…!」
ステイル「この言葉が、そのお花が咲いてる頭じゃ、少しも理解出来なかったら、後は勝手にしろ」
悟飯「…」
悟飯「…すみません、分かりました」
ステイル「…ふん」
悟飯「ピッコロさんとりあえずあの二人を天界に」
ピッコロ「ああ」
悟飯「それとえーと…す、すて…」
ステイル「ステイルだ」
悟飯「す、すみませんステイルさん」
悟飯「あなたたちも一緒に避難を…!」
ステイル「俺たちは良い…よな?」
神裂「…ふ」
ステイルの目配せに諦めげに嘲笑する神裂。
悟飯「避難…しないって…」
悟飯「ど、どうしてですが!?」
ピッコロ「…」
ステイル「この魔法が発動されれば術者であるあの子の記憶も、跡形もなく消えるだろう」
神裂「…」
ステイルと神裂は上空の光の中心にいるインデックスを見つめながら語る。
その目には親が子を見るような、そんな暖かさ込められていた。
ステイル「決めてたんだ…散々あの子の記憶を奪って苦しめてきた俺たちだ」
ステイル「もしあの子が死んでしまうような事があったら共に死んでやろうってな」
神裂「…ふ」
悟飯「そ、そんな!」
ステイル「まあ随分自己満足な罪滅ぼしだかな」
ステイル「それでもあの子一人で逝くよりかは寂しくは無いだろう」
ステイルの言葉に決意の固さを感じる。
その固さが悟飯の言葉を失わせる。
悟飯「…」
ステイル「…」
ステイル「…こんな事になるんだったら、やっぱりいつもの通り記憶を消しておけば良かったな」
悟飯「…!」
神裂「…ステイル」
ステイル「だってそうだろ? そこのヒーローがしゃしゃり出てこなければ、あの子が死ぬことも、こんな大惨事になる事も無かったんだ」
悟飯「…」
神裂「ステイル…私たちも信用したし、それに過ぎた事は…」
ステイル「…だが良い夢は見させてもらった」
悟飯「…え?」
ステイル「正直辛かったかも知れない」
ステイル「奪いたくもない記憶奪ってあの子を悲しませるのが」
ステイル「何度も何とか出来ないかって方法を探して何も見つからなくて」
ステイル「だからもしかしたら救えるかも知れないって、そんな希望が見えたのは、そんな辛さを紛らわせる良い夢だったよ」
悟飯「…」
ステイル「だからこれに巻き込まれた他の人間はどうだか知らないが、少なくとも僕は恨んじゃいないよ」
悟飯「ステイル…さん」
神裂「ステイル…あまりフォローになってませんよ」
ステイル「う、うるさいな! 別にフォローする気なんか元々無いんだよ!」
悟飯(ステイルさん…僕が気にしないようにあんな事を…)
悟飯(ステイルさん…神裂さん…)
悟飯(考えるだけ無駄だって分かっているけど何か助ける方法は無いのか…!?)
悟飯は歯噛みしながらインデックスを包む光の玉を見つめる。
そして…。
悟飯「…? あれ?」
悟飯(そう言えばあの魔法を使ってから、あの攻撃を反射する結界は無くなっているような気がするぞ…?)
悟飯「あ、あのステイルさん」
ステイル「何だ…まだ何かあるのか?」
ステイル「そろそろ脱出しないと間に合わなくなるぞ」
悟飯「い、いえ…そう言えば何ですけど」
悟飯「エンジェリック・ハグでしたっけ?」
悟飯「あの時にインデックスの回りにあったバリアが消えてません?」
ステイル「何…? ああ、恐らくだがあのロストマジックの力が凄すぎて、流石に複合で魔法を発動させる事が困難になったんだろう」
ステイル「国一つを滅ぼす魔法だ、そうなって当然だ」
ステイル「だが今あの周囲は強烈な忘却の光に包まれている。恐らく近づいただけで記憶奪われるだろう」
ステイル「近づけなければ何も出来ん。それも踏んでエンジェリック・ハグの結界を解いたのだろう」
悟飯「…と言う事は今なら超神水を飲ませる事が出来るのでは…?」
ステイル「なっ…バカか君は」
ステイル「話を聞いてなかったのか!? 今は近づいただけで記憶が奪われるんだぞ!?」
悟飯「で、でもスーパーサイヤ人になって最高まで気を高めて魔法を防げば何とかなるかも…」
ステイル「そのスーパーなんたらは何なのか分からんが」
ステイル「今この場であの光を受けて少しでも影響が出てるなら、たぶん無理だと思うぞ!」
悟飯「影響は…」
ステイル「言わなくても、ボーッとしているその目を見れば分かる」
悟飯「…!」
悟飯(確かに…夏の夜とは言え、何か暖房の前にずっといるような、そんな熱味をおびた感じに頭がボーッとしているような…)
ステイル「いいか…そんなのは消防署の耐熱服を着てマグマに飛び込むような物だぞ」
悟飯「そ、それでも…」
悟飯「…」
悟飯「それでも僕は少しでもあなたたちを助けられる方法があるなら…それを試したい」
ステイル「バカな…」
ステイル「仮にそれが上手く行って魔法この発動を止められとしても」
ステイル「その間、間近で浴びた光によって君の記憶は何かしら消える事は確実だぞ」
ステイル「何故君がそこまでする理由がある!」
悟飯「…」
悟飯「…分かりません」
ステイル「分からない…だと!」
ステイル「君は…!」
悟飯「…たぶん性分何だと思います」
ステイル「…!」
悟飯「ほっとけないんです。困っている人を見ると」
悟飯「それに上手く理由をつける事は出来ません」
気恥ずかしそうにガリガリと頭を掻く悟飯。
ステイル「そんな…理由で…!」
ステイル「…」
ステイル「…勝手にしろ」
ステイル「僕は忠告したからな…」
悟飯「はい! ありがとうございます! ステイルさん!」
ステイル「礼など…君は自分で勝手に自殺しに行くだけの話だろ」
ステイル「言われる筋合いは無いね」
悟飯「…それでもありがとうございます」
ステイル「…ち」
悟飯「でもステイルさん。僕は自殺しに行くわけではありませんよ」
ステイル「何?」
悟飯「僕はまだ本気を出していませんからね」
悟飯「いや、出せなかったと言うべきでしょうか?」
ピッコロ「…」
ステイル「それはどう言う…」
悟飯「前はインデックスの命もかかっていたので、撃つのを躊躇いました」
悟飯「でも今度は、あの魔法の力を防ぐだけと言うなら」
悟飯「それならインデックスを傷つける事はない」
悟飯「威力を調節する事も考えなくて良い」
悟飯「だから今度こそ、本当に全力のスーパーサイヤ人の力が使えると思うんです」
ステイル「本当の…スーパーサイヤ人の力…?」
悟飯「はい!」
ピッコロ「確証はあるのか?」
悟飯「…正直分かりません」
ピッコロ「…おい」
悟飯「 でも何となく分かるんです」
悟飯「まだまだ僕は力を出しきれていない」
悟飯「子供のときのような、あの凄い力が」
悟飯「僕はその力にかけてみたいんです」
悟飯「いくら平和ボケしてたからって、子供の時の僕に負けたくありませんからね」
ピッコロ「そうか…だったら」
ピッコロ「…」
ピッコロ「いや…野暮なことは言うまい」
ピッコロ「お前の全力を見せてみろ!」
悟飯「はい!」
神裂「…少年」
悟飯「神裂さん」
神裂「私は卑怯ものなのかも知れない…」
悟飯「神裂さん?」
神裂「本来なら…大局を見据えるなら、私たちがあの子を殺してでも、止めるのが筋なのかも知れない」
神裂「私にはその力があるのに…」
神裂「でも私は…その選択をどうしても選ぶことが出来ない」
神裂「あの子殺すことなんて…」
神裂「だから君が…君の身が危険であっても、私は君のやろうとしている事に期待してしまう」
神裂「期待してしまうから止めようと言えない踏み出せない」
神裂「それであの子が救われるなら…と」
神裂「だから私は卑怯者だ」
神裂「愚かで卑怯者だ」
神裂「そんな私何かために君が犠牲を払おうとしている事が」
神裂「私は…!」
神裂は苦悩するかのように語気を荒げる
悟飯「神裂さん!」
神裂「…!」
悟飯「貴方が気にする事じゃありません」
悟飯「僕が好きでやるんです。いえやりたいんです!」
神裂「…! …少年」
悟飯「このまま逃げたら、取り返しのつかない事になりますし」
悟飯「それ以上に、ここで逃げたらたぶん一生後悔する事になると思うんです」
悟飯「あの子…インデックスの事は守ってやるって決めましたしね」
悟飯「だから貴方が気にやむ必要は無いんです」
神裂「しかしそれでは…!」
ステイル「…忘却の光が強くなっている。やるんならそろそろ行動した方が良いと思うよ」
神裂「ステイル…!」
ステイル「…泥臭い話は好みじゃ無いからよくは分からないけどね」
ステイル「そいつは覚悟を決めたんだ。もう黙っていかせてやるのも筋ってものだ」
ステイル「もう手を下せない僕らが口にする事じゃないよ」
神裂「…!」
悟飯「ステイルさん…」
ピッコロ「ふ」
ステイル「…ふん」
神裂「…」
悟飯「…じゃあ行ってきます」
神裂「…! ま、待て」
ステイル「おい神裂…!」
神裂「ち、違う! もう止めはしない」
悟飯「え? じゃ、じゃあ何ですか…?」
神裂「そ、その…少年!」
悟飯「え? あ! モガ!」
神裂は突然悟飯の顔に胸を押し付けて抱きしめる。
ステイル「何!?」
ピッコロ「なっ!///」
神裂「…///」
悟飯「ムググ…」
悟飯「ぷはぁ!」
悟飯「ななな何をするんですか!?///」
神裂「あ…い、いや、男子は女人の胸が好きだと聞いた事はあったから…///」
神裂「君には命も救われたからな…そ、そのそう言うことだ」
悟飯「そ、そう言うことって…」
神裂「お、お礼だ…! 今の私にはそれしか出来ないから…///」
神裂「私の胸などでは不足かも知れませんが///」
悟飯「い、いえ別に不足と言う事は…///」
ステイル「…ち、見てるこっちが恥ずかしくなってくるよ///」
ステイル「ほらバカやるのもいい加減にしろ! 神裂」
そう言うとステイルは神裂を悟飯から引き剥がす。
神裂「あ…」
ステイル「ほら神裂がまたバカやる前にとっとと行けヒーロー!」
悟飯「は、はい!」
悟飯「は、ハア!!」
悟飯はステイルにそう言われると、地面に落ちていた超神水を拾い、夜空に煌々と光るインデックスの元へと向かう。
ステイル「…お前ちょっとおかしくなってないか?」
神裂「…そうかも知れない」
ステイル「全く最後かも知れない時くらい、かっこよく終わらせられない物なのかね」
神裂「…反省している」

 

悟飯「お、驚いたな…まさかあの人があんなことをするなんて///」
悟飯「…///」
悟飯「…! といけないいけない」
悟飯「今は目の前の事に集中しなくちゃ」
悟飯「よし…とりあえずあの忘れちゃう光を防ぐために最高まで気を高めるぞ」
悟飯「…ハァァァ」
悟飯「ハアーーー!!!」
悟飯が気合いの雄叫びを上げると噴出するような勢いのある気の柱が顕現する。
しかし───。
悟飯「…」
悟飯(…たぶん駄目だ…これじゃ)
悟飯(これだけの力じゃまだあの光を防げない)
悟飯(現にあの光を受けると頭がボーッとする)
悟飯(これじゃあの光の中心に行ったらとても耐えられないかも知れない)
悟飯(もっと強い気のバリアを作らねば…!)
悟飯(でもどうすれば…)
悟飯(…昔父さんは、僕は怒れば凄い力が出せるって言われて本当にそうだったけど)
悟飯(今…大人になった僕は本気で怒れる事が出来るのだろうか?)
悟飯(今もインデックスをあんな風にしたやつらに怒りは感じている)
悟飯(でもそれはたぶん力が出せるほどの怒りじゃない)
悟飯(こうやって冷静に分析している時点で僕は本当の意味で怒っちゃいないんだ…)
悟飯(それから考えると、やはり子供の時見たいに怒ることなんて…僕には出来ないかも知れない)

悟飯(そしてそれを僕は分かっていたかも知れない)
悟飯(く…どうすれば)
悟飯(だけどもう考えている時間は無い…!)
悟飯(今は…今出せる力でやるしかないんだ!)
覚悟を決めた悟飯は、そのままインデックスが放つ光の領域へと侵入する。
悟飯「…う」
悟飯(ステイルさんの言ってた通りだ…光の中はもっと…朦朧とする)
悟飯(でも…耐えられない…ほどでは…ない)
悟飯(よし…後は近づいて…この超神水を…)
悟飯(…)
悟飯(…超神水…?)
悟飯(…!)
悟飯(いかんいかん…! 少しでも気を抜くとその先から忘れてしまいそうだ…)
悟飯(気を高めるだけじゃ無く、記憶もしっかりと留めておかなきゃ…)
悟飯はしっかりと心に刻み付けると、さらにインデックスへと近づく。
悟飯(…)
悟飯(…く…近づけば近づくほど…何だ…?)
悟飯(だんだん…眠く)
悟飯(とてつも…ない眠気…だ)
悟飯(だ…駄目だ…この…ままでは意識を…)
悟飯(く…!)
悟飯は意識を失いそうになる直前で、気付けがわりに、気の力で腕に傷を刻む。
悟飯(ちち…でもよし…これで…)
悟飯(でも…もう時間の問題かも知れない)
悟飯(早くインデックスの元へ…!)
悟飯は、はやる気持ちがありながらも、その強烈な忘却光の前に、どうしてもゆっくりと進むしか無かった。
数㎝進んでは止まり、また数㎝進んでは止まる。
それがたった数メートルの距離を長くさせる。
それでも何とか少しずつ進み、そしてようやく───。
悟飯(ようやくインデックスの元にたどり着いたぞ…)
悟飯(後はこの超神水をインデックスに…)
悟飯(く…ぐく)
悟飯(駄目だ…インデックスの側は…また光の力が強くなっている)
悟飯(早くしないと…これ以上は…)
悟飯(早く…早く…)
悟飯は手を震わせながら、超神水の飲み口をインデックスの口へと運ぶ。
しかしその時───!
インデックス「警告…」
悟飯「!」
その手を突然インデックスが掴み、拒む。
悟飯「く…くそ! インデックス…じゃないヨハネのペンか…!」
悟飯「は、離せ」
本来ならインデックスの力で抵抗しても問題にはならないだろう。
しかし今、全パワーを忘却の光から身を守るために使っているため、ほんの些細な力でも、今の悟飯には脅威になった。
悟飯「くそ…! 離せ! 離せよ!」
インデックス「警告…侵入者の存在を確認」
インデックス「危険なディスペルマジックのアイテムの携帯も確認」
インデックス「全力で排除を試みたいところではありますが」
インデックス「現使用魔法、人滅の忘却光オブヴィリオンの使用停止は魔導書の存在を知ったものの記憶を完全に消さなくなるので停止は不可能」
インデックス「よって回避絶望的状況ではありますが、物理的な力で最後まで抵抗を試みます」
そうインデックスが言うと、その掴んでくる細腕から、少女の物とは思えない、何か物凄い力が加わる。
これも魔法の力なのかも知れない。
もちろん普段の悟飯なら簡単に返せる力だが、忘却光から身を守るため全力でバリアを張っている悟飯には、今他には力を回す余裕はない。
そんな悟飯には絶望的な力だった。
悟飯「う! くぅぅ!」
悟飯(だ、駄目だ…凄い力だ)
悟飯(押し返せない)
悟飯(く、くそ…あと少しなのに…!)
インデックス「排除…」
悟飯(だ、駄目だ…! このままじゃ…)
悟飯(このままじゃバリアが保てない…!)
悟飯(くそ…! くそ…!)
悟飯(後少しなのに)
悟飯(後…!)
悟飯「あ…!」
悟飯が最後にか細く漏らすように呻くと、糸が切れた人形のように、ガクっと項垂れる。
悟飯(…)
悟飯(僕は…ここで何をしているのだろう?)
悟飯(僕は…)
悟飯の記憶が濁流の流れのように消え去っていく。
悟飯「僕は…」
悟飯「は…」
インデックス「…」
悟飯「はは…あはは…あはは! あははは!」
悟飯「ははは! はは! ははは!」
インデックス「…どうやって防いでいたか知りませんが、今オブヴィリオンの効果が現れた事を確認」
インデックスの中に眠る魔導書の記述が、悟飯にオブヴィリオンの効果が現れた事を教えてくれた。
魔法で記憶を奪われた者の中に、突然の記憶の消失と高揚すら感じる忘却光の光によって、その状態がとてもおかしく感じ笑い出すのだ。
今その症状が悟飯に出たことによって、魔法が効いた事を確信したインデックスは、それに安堵し悟飯から手を離す。
インデックス「妨害者の排除を確認」
インデックス「引き続き魔法の発動に集中します」
悟飯「はは! 僕は、あはは!」
悟飯「くく…ここで何をやっているんだ…!」
悟飯「…そうだ…! 僕は…」
悟飯「セルを倒さないと…! みんながひどい目に…!」
悟飯「でもお父さんは、何で僕なんかに…セルを倒せって…」
悟飯「いや…セルと戦っているのはお父さんだ!」
悟飯「さすがお父さんだ! でも周りのみんなは凄いって言ってるけど、そんなに凄いようには見えないけど…」
悟飯「ん…? あれセルとお父さんが戦っていたような気がするけど、僕は今精神と時の部屋で修行を…」
悟空『ご、悟飯! 気をしっかり持つんだ! おめえがそこで倒れたらその街は…日本は…!』
悟飯の記憶が失われて行ってるのに、いてもたってもいられなくなった悟空は悟飯に呼び掛ける。
悟飯「あ! はい! 分かっています!」
悟空『悟飯…!』
悟飯「僕もセルを倒すために少しでも役にたてるよう鍛えてください!!』
悟空『…! ご、悟飯…』
悟空『セルはもう…く!』
悟飯「…? あれ、お父さん? お父さんー!」
これ以上声をかけても無駄かと感じたのか悟空の声が消える。
悟飯「あれが人造人間…!」
悟飯「フリーザー!」
その後も過去を遡るように消えていく悟飯の記憶。
悟飯「ん…!? あのナメック星人の子供が殺されちゃう!」
悟飯「ゆ、許せないぞ、あのトゲトゲ太っちょ!」
悟飯「守らなきゃ!」
悟飯「…! 痛!」
悟飯は幻影の敵と戦おうと構え直した時、ある箇所が痛むのを感じる。
悟飯「何だ…? 何か腕が痛い…」
悟飯「こんなところ怪我した覚えはないぞ」
悟飯「一体…?」
そこはちょっと前に、悟飯が気付けがわりにわざと傷つけた場所だった。
そしてその傷は───。
悟飯「な、何だこの傷…何か書いてあるぞ」
悟飯「何…目の前の…」
『目の前の女の子に水を!』
悟飯「水…? 目の前の…女の子?」
悟飯「この子の事?」
悟飯「それと…」
悟飯「水ってこれ…?」
インデックス「…!」
悟飯が超神水が入った瓶を傾け、チャプっと言う水の音を出した事で、ようやくインデックス…ヨハネのペンは悟飯の異常に気づく。
インデックス「警告…!」
インデックスは今度は超神水自体を奪おうと瓶に手を伸ばすが。
悟飯「わ!」
それに焦って瓶を落とす悟飯。
重力に従って自由落下する超神水の瓶からは先に溢れ出た【水】がインデックスの顔に迫る。
そして───。
インデックス「…!」
叩きつけるような激しい水音と共に降りかかる超神水
…その直後、インデックスの周りで輝いていた光に歪みのような物が生じる。
インデックス「…! …!! …!」
ビクビクと痙攣を繰り返すインデックス。
悟飯「あ…あ…」
インデックス「大…量の…の! きょう…りょく…な!」
インデックス「マジ…マジ…マジックデデデーディスペル薬が」
インデックス「たたた体内にししし侵入をーーかくかく確認」
インデックス「わわわー私、ヨヨヨハーネペンペン」
インデックス「クビクビクビ首輪ののののイージー、維持はふかふか」
インデックス「のーーーーー………」
インデックスはそこまで言うと糸が切れた人形のように脱力する。
すると周りの歪んだ光は、まるで硝子が割れるように飛散し飛び散りながら消えて行った。
そしてインデックスもまたその光の粒子と共に落下を始める。
悟飯「あ…危ない!」
咄嗟にインデックスを抱き止める悟飯。
抱き止めたインデックスの体は、魔法を無理に使った傷跡が痛々しく残っていたが。
月明かりに照らされながら、すうすうと寝息をたてて眠るインデックスのその顔は、安らぎに満ちた物だった。
全てから解放されたような、そんな顔。
悟飯はその顔を見て、ほっと安堵の息を漏らすのだった。

続く

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